法学部の就職先② 弁護士

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法学部の就職先と聞いて真っ先に思い浮かぶものの一つは弁護士ではないでしょうか


弁護士といえばまさに法律の専門家ですし、将来は弁護士になりたいと思って法学部に入った人もたくさんいると思います


今回は法学部にとっての花形、弁護士について紹介していきます


弁護士の仕事内容

弁護士の仕事はその名前の通り、依頼者の弁護をすることです。弁護とは、その人の代わりに事情を説明し、その人の利益になるように主張することを言います


法学部生として授業を受けているみなさんであればある程度は法律についてわかるかもしれませんが、そうでない人にとっては法律はわかりにくいものです。法律を勉強したことがあっても、法律の知識を武器にして問題を解決できる自信があるという人は少ないのではないでしょうか


弁護士は、そういった人たちのために働く職業です。複雑でわかりにくい、法律に関わるようなトラブルを、法律の知識を武器にして解決していきます


弁護士が扱うトラブルには主に民事事件刑事事件の2種類があります。

民事事件での仕事

民事事件というのは、人と人での争い・人と企業での争いなど、法律に違反しているかどうかを争うのではなくトラブルをどのように解決するのかを争うものです。例えば、離婚における慰謝料の争いや土地の権利についての争いなどが民事事件にあたります


民事事件での弁護士の仕事は、ただ話し合うだけでは決まらないような争いについて、法的な解決策を導いていくことです。つまり、民事事件においては、紛争を解決することが弁護士に求められています

刑事事件での仕事

刑事事件では、被告人が有罪か無罪か、量刑はどの程度なのかを争います


弁護士は、依頼者の利益を守るために証拠を集めて戦います。ドラマなどでは被告人を無罪にしたい弁護士と有罪にしたい検事がアツい戦いを繰り広げていますが、実際の裁判ではそんなことはないようです。無罪にしてほしいという依頼者はそれほど多くないため、弁護士は被告人を無罪にするために戦うというよりはなるべく刑を軽くするために戦います

弁護士になるには

弁護士になるためには、まずは司法試験に合格する必要があります。法律を武器にして人の代わりに動くわけですから、司法試験に合格できるだけの知識がなければダメだということです


司法試験に合格した後には司法修習を受けることになります。司法修習というのは裁判のための研修のようなもので、1年間先輩の法曹の指導の元、実務の場で必要な知識や経験を身につけていきます

法律事務所で働く

司法修習を終えて無事弁護士資格を取得したあとは、通常であれば法律事務所に就職します。そして法律事務所でさまざまな事件を担当し、経験を積んでいきます

自分の事務所を開く

法律事務所で経験を積み、独立して自分の事務所を開く人も多いです

民間企業で働く

最近では法律事務所ではなく民間の企業で弁護士が増えているようです。このような弁護士のことをインハウスローヤーといいます

弁護士と検察官の違い

  • 弁護士は民事事件も刑事事件も担当するが、検察官が担当するのは刑事事件のみ
  • 刑事事件の被告人を裁判所に公訴(訴えること)することができるのは検察官のみ
  • 弁護士は民間人だが、検察官は国家公務員。そのため、検察官に比べて弁護士は証拠を集めるための権限が少ない

弁護士の年収

日弁連の調査によると、所得が500万円~1500万円の方が多いようです

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:弁護士実勢(弁護士センサス)調査

法学部の就職先① 裁判所職員

裁判所事務官の仕事内容

裁判所事務官の主な仕事内容は、裁判所で行われる裁判のサポートや管理などです


裁判所は裁判を行うだけでなく、裁判を行うための人員の管理や広報活動、資金の管理なども行う必要があります


前者のように裁判を行う部門を裁判部門といい、後者のような事務仕事を行う部門を司法行政部門といいます


裁判所事務官は裁判部門か司法行政部門のいずれかに配属され仕事を行います


裁判部門の仕事

裁判部門に配属された裁判所事務官は、裁判所書記官のもとで裁判が円滑に行えるようサポートをすることになります。裁判所書記官については後ほど書きます


裁判を行うためのサポートについて具体例を挙げると、呼出状や訴状などの裁判に必要な書類の作成や送付弁護士との打ち合わせなどはもちろんのこと、マスコミの対応裁判員関連の対応も裁判所事務官の仕事です


また、裁判所の統計データの作成も裁判所事務官の業務であるなど、その仕事内容は多岐にわたります


司法行政部門の仕事

次に司法行政部門の仕事内容を紹介していきます


裁判部門の仕事は裁判に直接関係するような仕事が大部分であるのに対し、司法行政部門の仕事は裁判に直接関係しているというよりは、一般企業の総務課や人事課の業務に近いものになります


具体的には、人事や予算の管理採用に関する手続き広報活動などを行います


裁判所は一般企業ではありませんが大きな組織であるため、組織を管理するような部門も必要だというわけです


裁判所書記官と裁判所事務官の違い

裁判部門に配属された裁判所事務官の仕事は裁判所書記官のサポートであるといいました


では、裁判所書記官というのはどのような人たちのことなのでしょうか?裁判所書記官と事務官にはどのような違いがあるのでしょうか?


裁判所書記官の仕事を羅列していくよりも裁判所事務官との違いを書いていったほうがわかりやすいと思うのでそんな感じで書いていきますね


とりあえず、裁判所書記官と裁判所事務官のもっとも大きな違いはできる仕事の内容です。裁判所事務官が裁判所書記官のサポートだということからもわかるとおり、裁判所書記官は事務官よりもより重要な仕事、難しい仕事を行うことができます

裁判所書記官は,裁判手続に関する記録等の作成・保管,民事訴訟法や刑事訴訟法といった手続法で定められた事務及び裁判官の行う法令や判例の調査の補助といった仕事をしています(裁判所法第60条)。

  • 裁判所のホームページより-

実は、裁判所事務官の業務内容は法律で定められたものではありません。しかし、裁判所書記官になると、法律によって与えられた権限のもとで裁判に関わる重要な仕事を行うことができるのです!


裁判所事務官の仕事はあくまでも裁判を行うためのサポートでしたが、裁判所書記官の仕事はほんとうの意味で裁判に直接関わることになります


裁判所書記官になれば、裁判に関わる重要な仕事を行うことができますが、裁判所書記官が必ずしも裁判部門で働かなければいけないのかというとそうではありません。司法行政部門で働く裁判所書記官も数多くいます


気をつけなければいけないのは、裁判所事務官の場合転勤はあまりありませんが裁判所書記官は転勤の可能性があるということです


どうしても転勤するのが嫌だというのなら別ですが、裁判所事務官よりも裁判所書記官のほうが給与も高く、仕事もやりがいのあるものなので、裁判所事務官の仕事をしながら裁判所書記官を目指すことをおすすめします。


裁判所事務官・書記官の年収

仕事を選ぶ上でやっぱり気になるのは年収ですよね


裁判所の職員の1年目の年収は300万円ほどです。やはり公務員なので、それほど多いということはないようです


しかし、書記官になると手当が支給されるため、裁判所事務官よりももらえる給料は多くなります


待遇

Vorkersの評価によると、ワークライフバランスはとても良いようです


残業が少なく、有給休暇も比較的取りやすい雰囲気があります。また、育児などで休まなければいけない場合でも白い目で見られることはなく、休みが取りやすいようです


女性の働きやすさ

これは管理人の僕が直接裁判所の職員の方に聞いたことなのですが、管理人の住んでいる地域の裁判所の場合男性と女性の割合はほぼ半分で、年によっては女性のほうが多いこともあるそうです。つまり、裁判所は女性にとっても働きやすい職場であるといえます


裁判所職員になるには


裁判所事務官になるには

裁判所事務官の試験は、総合職一般職に分かれています


総合職の場合は大卒程度と院卒者で試験が分かれています。一般職の場合は大卒程度と高卒者で試験が分かれています


平成28年度の倍率は以下の通りです(裁判所|裁判所職員採用試験)

総合職院卒者区分 倍率46.7倍
総合職大卒程度区分 倍率37.5倍

一般職大卒程度区分 8.4倍
一般職高卒者区分 44.6倍


裁判所職員採用試験で合格すれば、裁判所事務官になることができます


試験の内容にはもちろん法律に関するものも含まれているため、大学の授業の内容をしっかりと身につけて対応する必要があります


裁判所書記官になるには

裁判所書記官になるためには,裁判所職員総合研修所の裁判所書記官養成課程入所試験に合格し,所定の期間,研修を受ける必要があります。この入所試験は,裁判所職員として一定期間勤務した後に受験することができます。
なお,総合職(裁判所事務官)として採用された者がこの入所試験を受験する場合は,採用初年度に限り,原則として筆記試験の全て又は一部が免除されます(院卒者区分採用者は全て免除,大卒程度区分採用者は一部免除となります)
裁判所|裁判所書記官になるためにはどうすればいいのですか。


裁判所の公式サイトに書かれている通り、裁判所書記官になるためにはまず裁判所事務官として裁判所に採用されなければなりません


つまり、裁判所書記官を目指している人も、まずは裁判所職員採用試験を突破する必要があるということです


裁判所職員採用試験対策

裁判所職員採用試験の過去問は裁判所の公式サイトで確認することができます
裁判所|試験問題


また、予備校が過去問集も出しているので、しっかりとした解説が必要なのであればそれを使うのも良いと思います